SELについて

Social and Emotional Learning(SEL)とは、社会的スキルや情動リテラシー(社会・情動的スキル)を育む教育的取り組みです。これは、特定のプログラムを指すわけではなく、社会性(対人関係面)や情動面を重視した教育的取り組みの総称となります。さらには、プログラムとしての実施を超えて、他の教育活動と関連させた統合的な教育カリキュラムとして実践されることもあります。多くの場合は、特定の問題を抱えた子どもたちを対象とするのではなく、すべての子どもたちを対象に実施されます。SELは世界中で実践され、その効果も科学的な検証において確認されています(Cipriano,2023など)。なお、情動とは一般的には感情や気持ちと表現されるものを指します。

 

近年、社会への適応やウェルビーイングの向上のためには、いわゆる学力である教科の成績だけではなく社会・情動的スキルが重要であることが多くの場面で指摘されるようになってきました。社会・情動的スキルは、よりよい人間関係を築くことや、適切な形でストレスに対処することなどに貢献するものです。社会・情動的スキルの重要性が指摘されるようになってきた背景には、見通しが立ちにくく変化の大きい社会の到来が予想されていることや、増え続ける不登校の問題などが挙げられます。こうした時代において、よりよく生きる力をつける社会・情動的スキルを育み伸ばすSELへの関心は年々高まっています。