コラム

人間関係のスキルRelationship skills:チームワークと協調的な問題解決を実践する7

 前回は、問題解決シートの手順4「どれをするか決める」(どんな姿勢や台詞でやってみるか、練習する)についてロールプレイングの方法を考えました。

 今回は、5.結果を振り返る:「やってみて結果はどうだった?」について考えます。

  1. 状況の理解:1- a「何があったの?」1- b「どんな気持ち」1- c「どうしたかったの?」
  2. 解決策のアイデアを出す:2「なにができるかな?」
  3. 解決策の実施した結果を予測する:3 「それをしたら、どうなるかな?」
  4. 解決策を選択しどのように実行するか決める:4「どれをするか決める」(どんな姿勢や台詞でやってみるか、練習する)
  5. 結果を振り返る:「やってみて結果はどうだった?」

 社会性と情動の学習(SEL)の成果として、情動と対人関係の様々なトラブルを解決できるようになることが期待され、統計的にもその効果は実証されています。しかしながら、個別のトラブルでは、いつも必ず解決した結果になるわけではありません。そのため、学んだ子どもから「習ったとおりにしてもうまくいかなかったじゃないか」と言われることも起こります。

<結果が失敗だった時>

 失敗して「がっかり」するのは悪いことではありません。けれども、「失敗はあってはいけない」という学校や家庭の文化が、失敗に対して「間違っている」「怠けている」「努力不足だ」などと批判したり馬鹿にしたりする事態を生み出すだと、「がっかり」という情動をよくないことと考える場合があります。

 失敗した時こそが、人生の分かれ目です。 「やけくそになって、行動するか」 「希望を失わず前向きに取り組むか」でその後の人生が変わってきます。まさに、その時こそが問題解決のスキルを使うときです。ブレーンストーミングで考えた別の問題解決の方法が役に立ちます。「がっかり」という情動を共感的に理解してもらえる心理的安全感のもとで、創造性を働かせて問題解決のやり方を変え何度でもチャレンジしてみることができます。これは、まさにレジリエンスを学ぶことです。

<結果が成功だった時>

 成功して「喜ぶ」のは悪いことではありません。そして、「よかった」と安心してしまうことがあります。けれども、「柳の下にいつもどじょうはいない」のことわざにあるように、成功した時こそが危険な時でもあります。「有頂天になって、同じ解決策を続けるか」それとも「状況変化に応じて新たな問題に取り組むか」で、その後の人生の分かれ目となることもあります。

 環境の状況変化に応じた問題解決策を何度でも創造して試してみる姿勢のことを「革新」といいます。

 成功して満足できる状況でも、変化に気づいて新たな発想を提案できるためには、馬鹿なことでも何でも言える自由で安心できる心理的安全性が感じられる文化を育てることが大切です。