コラム

人間関係のスキルRelationship skills

 今回は、まず人間関係の基本について考えます。

 人間関係は、端的には二人の人と人との関わり合いから成り立っています。けれども二人の人間のどちらにもない特徴がそこに現れます。図2021-11-1は花子さんの円満な人格を表しています。図2021-11-2は、真面目で四角四面の太郎さんの人格を表しています。

花子さんの人格

図2021-11-1 花子さんの人格

 

太郎さんの人格

図2021-11-2 太郎さんの人格

二人がかかわりあって重なると図2021-11-3のように、どちらの人格にもなかった人間関係の模様が浮かび上がります。これはモアレ模様といい、物理学的には二つの空間周波数のうなり現象とされます。そして、片方が少し動いただけでモアレ模様は大きく変わるのです。

 

花子さんと太郎君の人間関係の模様

図2021-11-3 花子さんと太郎君の人間関係の模様

 

 すなわち、人間関係というのは一人一人の人格や特徴から推測することが出来ない新しい関係模様をつくりだすのです。人が変われば、全く違った人間関係の模様が現れることになります。また、二人の間にいろいろなトラブルが起こっても、その原因をどちらかに特定することはできません。あくまでも、二人の間のかかわりあいの模様としてトラブルという関係が生まれるのです。

 このような人間関係の見方は、アメリカのコミュニケーション派家族療法の中心的研究機関であるMRI(Mental Research Institute)で生み出されました。2001年にMRIの研修を受けた時にWatzlawick、P.が説明してくれたものです。